・生活

一生変わらない絆で結ばれている仲間なんて私には居ないし、親友と胸を張って言えるのはせいぜい一人、二人だ。何十年も一緒に生きてきた仲間なんて居ない。そう考えると、私は独りな気がする。

 

いつから両親のことを両親であると同時に、一人一人の人間として捉えられるようになったんだろう。父は一人の男性で母は一人の女性だ。小さい頃は親は親でしかなくて、世の中にいる大人とは違う存在に見えていた。両親の言うことが絶対に正しいと思っていた。いつからだろう。母の涙も、父の落胆も一人の人間のものとして見られるようになったのは。

小さい頃は、家族は家族でしかなかった。でも今は、一人一人の人間の集合体であることが痛いくらいに分かる。もちろん、家族でしか許せないことや笑えないこともたくさんある。しかし、家族の意見にも反対出来る強さを今は持っている。

両親の気持ちや姉の気持ちに触れて生きてきたのに、私は三人とは違う全く違う人間になる。正確に言うと、もちろん私以外の三人も全く違う人間同士だ。好きな食べ物も色も曲も違う。同じ時を長く過ごして来たけれど、全員違う。違う人間たちの集合体だ。それが家族だということに、小さい頃は気付かなかった。だからこそ、両親は別れることはないし、姉はいつも側に居てくれるものだと考えていた。今でも両親の仲は良いし、姉とも仲が良い。しかし今なら、両親が別れたとしても止めるつもりもないし、大人の決断であるから反対はしない。この様に思えるようになったことは、もしかしたら純粋な気持ちを失ったということなのかもしれないし、はたまた大人になったと言えることなのかもしれない。どちらかな。

そんな人間たちが四人集まって家族でいる。似てるところは多いけれど、全く違う人間が、空気を読んで、時には励まして、ぶつかって泣いて、笑っていることはアホみたいだけど、奇跡だ。別れようと思えば別れられる。でも別れないで共に時間を過ごしてきた。

 

なんとなくそんなことを思った日だった。