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・火花

book

芸人が書く小説を舐めていた訳では無い。世の中の売れている芸人は頭の回転が早く、話は面白いし、書いてる文章も面白い。オードリーの若林が書いているダ・ヴィンチの連載が好きでハードカバーの初版を買ったこともある。ピースの又吉はNHKの経済を扱う番組で度々目にしていたし、彼のコメントを聞いて、この人は頭がいいんだなとも思っていた。また読書家という面も彼のイメージを強くしているのではないだろうか。本を執筆するということに対して、彼にかかる周りからのプレッシャーは凄いものだったのではないだろうか。「本を沢山読んできたといっても書くのは下手でしょ。」とか「芸人が小説?作家を舐めるなよ。」というような否定的な意見もあったのではないだろうか。しかしこの『火花』は周知の事実であるように芥川賞を受賞し、映像化もされる。実に高い評価を受けたのだ。否定的な意見を言っていた人達に、してやったりの顔を出来るはずだ。
受賞してから随分経ってしまったが、今日『火花』を読了した。芥川賞の選考基準は分からないが、率直に良い作品だと思った。些細な表現が実に上手い。場面が目に浮かぶようだった。冒頭述べたように舐めていた訳では無いが、驚いた。すごい才能だ。

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この本は芸人の話だ。ご存知のように又吉直樹の本職は芸人である。芸人が書く芸人の話だ。そして芸人の彼だからこそ書ける芸人の話なのだ。本職が小説家であったら書けない話である。芸人という自分は将来絶対にならないと言える職業の裏側。自分の笑いを信じて、自分のセンスに人生をかけている。芸人は、人を笑わせるからおちゃらけた人に見える。でも実はとても熱い人間なんだと感じた。自分のセンスだけで闘うというのは、強い心が無ければ無理だ。芸人の間には今日も見えない火花が散っているはずだ。自分のセンスが認められれば売れる、つまらないなら売れないという簡単な仕組みだからこそ本気の闘いだ。その本気の火花の美しさを見られるような、そんな小説である。

エジソンが発明したのは闇〟
エジソンが発明したのは暗い地下室〟
このちょっとクスッとするようなサラッとしたユーモアが忘れられない。明るさを手に入れたが為に闇の存在が顕著になった。又吉直樹の頭の中を覗いてみたくなるようなそんな一言だった。
お暇があれば是非読んでみて欲しい。