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・億男

book


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『億男』川村元気

「宝くじが当たればいいのに」とか「もし3億円当たったらどうしようかな」という妄想は誰しもが1度は考えたことがあるはず。(3億円なんてはした金と思えるお金持ちの方以外)

この本は主人公の一男が3億円の宝くじに当選したことによって起こる彼の日々のお話です。

一男は3000万円の借金があります。朝は図書館司書として、夜は工場で働くというダブルワーカー。

私には借金がないし、彼の生活は私より辛い状況です。

私のような大学生の単純な「お金が手に入ったら好き放題使えるな~」という願望よりも切実にお金を必要としていました。

そこで彼は3億円の宝くじに当選します。


私は日々、自分がピンチの状態にある時こそその人の本性が表れると思っています。例えば朝の通勤ラッシュの時間帯、電車が緊急停止。大事な会議に遅れそう!とかテストに間に合わない!とか絶望する人が何人も居ることでしょう。その時あなたはどのような行動をするでしょうか?意味もなくイライラを募らせる人。会社に連絡する人。冷静にどうしたら一番早く目的地に着けるか調べる人。これこそそれぞれの本性を表す行動だと思うんです。

この本でも同じ。

大金を手に入れた後で、人はどのように変わるのか。変わらないのか。お金という誰もが望む物を手に入れた時に変化してしまうのか。今まで美しいと思っていたものや、ことを美しいと思えるか。美味しいと思ってたものを美味しいと思えるか。お金を手に入れる前の自分を否定せずに居られるか。

人間の本性を問われる作品だと感じました。

この本で起きてることは単純だし、似たようなことが起きる作品はあると思います。でも作品に漂う炬燵の電源を切った後のような、暑過ぎず、冷た過ぎず、ずっとこの温度が続けば良いのに。ここから出たくないな、と思えるような温度はこの作品でしか感じられないのではないでしょうか。