・年間ベスト小説、第1位
遂に第1位です。
吉本ばなな『キッチン』
第1位はこの本です。この本は今年初めて読んだ本ではありませんが、今年もこの本の女性らしさに励まされ、感動させられたので、第1位にしました。
言葉選びや表現が女性である素晴らしさを私に教えてくれた小説です。中学校から大学まで女子校で過ごした私にとって、女性らしさはどこか窮屈を感じさせる言葉でした。でも『キッチン』を読んでから、女性の素晴らしさを知った気がしたのです。
「だから、嫌なことがめぐってくる率は決して変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくした方がいいって。」
「まあね、でも人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。あたしは、よかったわ。」
「なぜ、人はこんなにも選べないのか。虫ケラのように負けまくっても、ごはんを作って食べて眠る。愛する人はみんな死んでゆく。それでも生きてゆかなくてはいけない。」
どうでしょう。この言葉たち。本当に力強く、でも身近で。素直に心に染みる言葉たちです。何年経っても心を強くしてくれる言葉たちで、全く色褪せません。男性にも是非読んで欲しい作品です。