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・光る箱、速い箱

電車に揺られながら頭では色んなことを考える。耳からはoasisのCast No Shadowが流れている。コーラスのハーモニーが美しい。

 

夕方5時を過ぎた千葉方面へ向かう電車には帰宅するサラリーマンやOLの姿が多い。眠そうにうつらうつらしながら英単語帳を開いている高校生らしき学生の姿も見られる。多くの人は家に帰るのだ。1日疲れたなと思いながら。帰ったら何をしようか考えながら。


電車の窓から見える景色はもう夕闇に包まれている。冬に近づくにつれ日が暮れるのは早くなる。たくさん光って見えるのはマンションの灯りだったり、誰かの家から漏れる灯りだ。誰かを待っている人も居るし、誰かの待つ家に帰る人がいる。
隣に座る中年男性の手帳型スマホカバーの内側には、男性の娘と見られる女の子の写真が貼ってある。彼には守りたいものがあるのだろう。
向かいに座る大学生くらいの男性はイヤフォンをして、スマホを見ながら笑っている。面白いと思える動画、またはメールのやり取りがあるのだろう。
私の前に立っている若い女性の左手薬指には指輪がはめてある。その爪が短く切り揃えられている指で家に帰ったら包丁を握り、誰かの為に料理をするのだろうか。

 

 

耳から流れてくる曲がChampagne Supernovaになった。イントロの水流の音を聴くと、穏やかな気持ちになる。
終点に向かうにつれて、人はどんどん減って行く。目指す場所へと向かっていく人は幸せそうだったり疲れた顔だったり、咳をしていたり、眠そうだったりする。でも何処か向かう場所が決まっているというのは幸せなことだと思ったりする。電車内を照らす蛍光灯は眩しいくらい乗客の顔を照らす。きっと外からこの電車を見たら、夜の暗闇に映えて、眩しい光の箱に見えるんじゃないだろうか。

 

さぁ、最寄り駅に着いた。私は先に降りるよ。次のアルバムの1曲目が始まったところだ。